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から日本に輸出をしている蘭の栽培をしているような農園も見せて頂いたりしました。それからこれを卸しているところは何処なんだ、何処のホテルに行けばもっとお花をアレンジしているような風景に会えるのかという質問をしまして、あるホテルでは結婚式場の中で、新郎新婦をいっぱい祝福する為にロビーにお祝に持ってきた花籠がずらっと並んでいるような光景に出会ったり、それからその会場に入るまでには天井にまでお花のアーチをつくるというような、日本では考えられないようなお花のある生活、文化というものに触れてきたわけなんです。
そんな時に、私は「またタイか」というような思いではなくて、もっともっとそのことについてもタイに行って聞いてみたい、見てみたい、学んでみたいという思いがしたのですが、その花のある暮らしを見た時に、今回初めてといいますか、やはり「微笑みの国タイ」というものを、お花を通して見たような感じがいたしました。
それで、私たちのこの街、神戸にもそんなふうに見て頂きたいものがたくさんあります。
もちろん2年近くになりますが、神戸は私たちからすると本当に悲しくて、あんな思いを人間がするのかという体験をした大震災という体験をした市民が暮らす街です。私たちは本当はこの美しい街、山もあるでしょ、海もあるでしょ、とてもエキゾチックでしょ、昔から外国の方がたくさん集まって、いろいろな暮らしをした街なんですよ、だから異文化が交錯するような素敵な街がこの神戸にあるのですよという様に、神戸の人は日本で一番、もしかしたら自分の街を自慢する市民たちが住んでいたのではないかと思えるぐらい、自分の街を自慢しながら生きてきました。
自慢というより、自分自身が住んでいても大満足をしていたと思うのです。美しいでしょといった風景は、あの震災と共にかなり多くのものが失われていったのですが、私たちの心の中に残ったもの、体験の中にきちんと会得したものというのは、人間てどうして生きるの、生きている事というのはどういう事だったのかということを、老いも若きも、小さな子どもたちもがその体験を通してこの街で学ぶことになりました。ですから、地球上のどの都市よりも恐らく震災に関して、ああいうような危機の状態に置かれた時に、一番人間が望んだことは何か、そして生きる希望になったことは何かということを小さな幼稚園、小学校の子どもたちまでもが、自分の言葉で語ることのできる市民がこの街に住んでいます。
ですから多くのメッセージを伝えることができると思うのですが、それはちょっと横に置いておいて、私は神戸というのは日本の中で一番洋菓子のおいしい街だと思っております。洋菓子がヨーロッパから伝わってきたというのは、ポルトガルから鉄砲と共に種子島に入ってくるのですけれども、でも横浜も長崎も洋菓子という点からすると、洋菓子を育む街であったにもかかわらず、日本中のどの街よりも神戸が一番洋菓子のおいしい街になっているのです。
それは何かというと、つくり手がたくさんいるということなんです。そしてそのつくり手も本場フランスに行って、ドイツに行って、オーストリアに行って、そしてスイスに行ってと、それぞれの国でその国の伝統としてあるお菓子を学んできた人たちが神戸にはいて、その本場のフランスでさえもすばらしいというような評価を受ける人たちが神戸にたくさんいます。私たちがおいしいお菓子を味わうことができるというのは、そんな人たちがたくさんいる街、神戸だからと認識をしております。例えば、この洋菓子のことなんですが、アジアの国の人たちがもっともっと豊かになってきた時に、恐らくお菓子文化ということからすると、ヨーロッパの伝統あるお菓子を味わってみたいという様なことにもなるのではないかと思います。
25年前に見たアジアの風景と、10年前に見たアジアの風景、それから5年前に見たアジアの風景の中に変わってきたものがあります。それは確実にヨーロッパ、アメリカの文化が入り込んできているという事なんです。例えば、私たちの神戸がこのアジアの人たちに向けても、それから太平洋交流の時代と言われる、その国々の人たちに向けてやれる事というのは何かしらと思うと、神戸のおいしい洋菓子の街の特徴を駆使して、例えば、アジアの人がとてもおいしいヨーロッパのお菓子をつくろうとした時に、本国のフランスに留学に行き、そしてドイツに行って勉強する時、ドイツに行けばドイツのお菓子しか学べないのです。フランスに行けばフランスのお菓子しか学べないのです。ところが神戸に来られるといろいろな人材がいますから、ドイツもフランスも、もちろんスイスもということで学ぶことができます。グレードの高い人たちがレクチャーをすることもできる。また、神戸の街にはたくさんのお菓子屋がありますから、いつも毎日のように新しい商品もできているということなんですが、そういうことの基地に神戸がなっていけるのではないかと思った時、私たちが今までアジアの国々にグルメツアーという様に出掛けましたが、豊かになったそのアジア

 

 

 

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